アーリャは寒くて眼が覚めた。
足先がかたくこわばり、敷布と毛布にくるまれて横たわった身体のなかでそこだけ重たくなっているのがわかった。
アーリャはそっと寝がえりを打ち、膝をかかえて手で冷たい足に触った。
夜の明ける前である。
空はまだ夜のままで、星が光り、一面に真っ暗の闇であった。
けれどじきに明るくなるという時だった。空は藍の色になり、東の山の上から順に水を刷いたようになり、暗やみが静かに西へと退いていく時間が今にも始まりそうだった。そのときその絶妙のバランスを待つように木々がさわりと揺れた。
薄く丸い雲が浮かび、青と薄紅色が交じりあって白くなってゆき、太陽に世界をあけわたす夜が最後に一等冷たい風で大地をぬぐっていった。そして、山々の峰を白くふちどって、太陽が昇ってきた。
アーリャはこの長いような短いような時間のあいだ、横になったまま手で足を温めてじっとしていた。部屋が明るくなってきたので、そっと起きあがり、昨日祖母がつくってくれたばかりの靴下をつけた。
2008.11.16-17.